エージェント経由と直接応募は、どちらが有利なのか

同じ求人に、エージェント経由でも直接応募でも申し込める場合があります。どちらから入るほうが有利なのか。

この問いには、はっきりした答えがあります。求職者の側からは判断できません。 そして、判断できないものとして扱ったほうが、時間の使い方として合理的です。

ただ「判断できない」で終わると、実際に目の前に複数の経路があるときに動けません。この記事では、なぜ判断できないのかを説明したうえで、それでも分かっている一般論と、では何で決めるのかまでを整理します。

応募経路の有利不利は、求職者側から判断できない

理由は、判断に必要な情報が外から見えないためです。

企業が採用で最も見ているのは、中長期で活躍し続けてくれる可能性が高い人かどうかです。この前提に立ったうえで、どの経路が適切かを判断しています。

そのうえで、採用にかけられる予算が潤沢か、限られているかによって、経路の選択肢を狭めるケースがあります。予算の多寡だけでなく、「費用は使わなければ使わないほど良い」という考え方が根っこにある会社もあります。この場合、前提(中長期で活躍する人を採る)を実行する手段として、経路のほうが絞られます。

こうした裏の事情は、求職者側からは一切見えません。 同じ求人票を見ていても、その裏でどの経路が優先されているかは分かりません。

ですので、経路の有利不利を見分けようとする時間は、多くの場合そのまま消えます。 判断材料が存在しないことを確かめるために時間を使う形になります。

一般論としての順序はある

判断できないと言いつつ、費用の観点から言える順序はあります。 ここは隠さずに書きます。

経路企業側から見た性質
社員紹介費用の面で有利。かつ紹介した社員による確認が済んでいるため、中長期で活躍する可能性を一定担保しやすい
直接応募費用の面で有利
エージェント経由紹介にともなう費用が発生する

社員紹介がいちばん可能性が高く、次点が直接応募になります。 社員紹介が強いのは費用の面だけではなく、紹介する社員がその人を知っているという確認が、採用の前に済んでいるという点が効きます。企業がいちばん見ている「中長期で活躍するか」に、直接つながる情報だからです。

なお社員紹介にも、紹介した従業員へ報酬を支払う企業があります。 その場合、費用面の優位は企業によって変わります。順序が固定されているわけではありません。

この情報は、エージェントへの登録を紹介している当サイトにとって不利な内容です。 ただ、書かないと読者の判断材料が欠けるので、そのまま出しています。そして順序が分かっても、目の前の求人でどの経路が優先されているかは分からないという結論は変わりません。

同じ求人が、複数の経路に出ている

ここで、求職者側から見えにくい構造をもう1つ書きます。同じ求人が、複数のエージェントに同時に出ている状態が普通です。

理由は企業側の契約の形にあります。エージェントへの求人の掲載や依頼は無料で、採用が決まったときに料金が発生する契約が、ほとんどです。 つまり企業は、依頼する数を増やしても費用が増えません。

その結果、企業側は求職者ほど「この求人ならこのタイプのエージェント」という選び分けをしません。

  • 求職者の側は、自分の方向が絞れているなら、その領域を狭く扱っているエージェントのほうが質の高いマッチングになります
  • 企業側にとってもそれは同じですが、費用が発生しない以上、絞る動機が弱くなります
  • 一定信頼できそう、実績があるというエージェントであれば、よほど秘匿性の高い案件でなければ依頼するというのが実際のところです

つまり求職者から見ると、同じ求人を別の窓口から何度も見ることになります。 これは各社が独自に取ってきた求人が偶然重なっているのではなく、企業側が意図して複数に出している結果です。

同じ企業に複数の経路があるとき、何で決めるか

経路には、直接応募、求人媒体、エージェント経由、社員紹介、スカウトといった種類があります。同じ企業に対して複数の経路が開いていることは珍しくありません。

そして上で見たとおり、どれが有利かは判断できません。 では何で決めるのか。

判断できない軸で悩むのをやめて、判断できる軸で決めます。 具体的には次の2つです。

その企業とのつながりが深い経路を選ぶ

特定の企業に深く入り込んでいるエージェントは、企業ごとの付き合いの深さを教えてくれる場合があります。「この企業とは実績が多くあります」「求人は持っていますが付き合いは深くありません」——後者なら、つながりが深い別の経路から入るほうが進め方として有利になることがあります。

自分が応募状況を管理できる形を選ぶ

同じ企業に、別の経路から二重に応募してしまうのが最も避けたい状態です。企業側から見ると管理の混乱として現れます。経路を増やすほど起こりやすくなるので、把握できる範囲に絞るほうが実質的です。

どちらも「有利かどうか」ではなく「確かめられるかどうか」で決めています。 見えないものを推測するより、見える範囲で決めるほうが早く進みます。

複数のエージェントを使う場合の組み合わせ方については、「紹介できる求人がない」と言われるのはなぜかの後半で整理しています。

「自分で見て選びたい」は否定されるものではない

ここから、エージェントを通す意味の話に移ります。

そもそもこれは、エージェント側が「介在価値」をどう定義するかという問題です。 求職者の側に問題があるわけではありません。

「求人は自分で見て選びたい」というニーズは事実として存在します。 そして否定される必要のないものです。自分で調べて納得して選ぶという進め方には、それ自体の価値があります。

ただし、そうやって応募したものが最も合っているかどうかは、別の問題です。

10件見て興味を持つ3件と、外から見た3件は違う

ここが介在価値の核心です。

10件の求人を見て自分が興味を持つ3件と、客観的な視点から見て「本当に合うかもしれない」3件は、おそらく違います。

自分で選ぶときの基準は、すでに自分が知っていることの範囲で作られます。知らない選択肢は、目に入っても引っかかりません。会計・税務の領域だと、たとえば次のような形で起こります。

  • 業務の名前は知っているが、その職場で実際に何を担うのかを知らないため、条件だけで判断してしまう
  • 自分の経験がどこに転用できるかを、自分では見つけにくい
  • 募集の背景が読めないため、求人票の文面だけで向き不向きを決めてしまう

エージェントを通すことの意味は、この差にあります。 選択肢の数ではなく、自分では引っかからなかったものが視界に入るかどうかです。

どちらに価値を置くかで、選ぶ相手が変わる

とはいえ、これはどちらが正しいという話ではありません。

選択肢を広げること自体に価値を置く

自分で見て選びたいというスタンスに合うエージェントに頼めばよいです。求人の流通量を重視するモデルは、この形と噛み合います。

自分が気づいていないところまで掘り出してもらうことに価値を置く

マッチングを人力で行うモデルのほうが合います。ただし、その分だけ担当者の理解度に結果が左右されます。

そして、スタンスが違うエージェントに当たった場合の応じ方も決まっています。 「こういう利点と難点があり、我々はこちらの利点を取るためにこのやり方をしています。どうされますか」という形で、選択肢として示されるのが本来です。

よくある質問

エージェント経由と直接応募、どちらが通りやすいですか

求職者側からは判断できません。企業がどの経路を優先しているかは、採用予算や費用に対する考え方によって変わり、外からは見えません。見分けようとする時間は多くの場合そのまま消えます。

企業にとっては直接応募のほうが良いのですか

費用の面だけを見ればそうなります。社員紹介がいちばん有利で、次点が直接応募です。社員紹介は費用に加えて、紹介する社員による確認が済んでいる点も効きます。ただし社員紹介に報酬を払う企業もあり、優位は企業によって変わります。

同じ求人が複数のエージェントから紹介されるのはなぜですか

企業側が意図して複数に出しているためです。エージェントへの掲載や依頼は無料で、採用が決まったときに料金が発生する契約がほとんどなので、依頼先を増やしても費用が増えません。結果として、信頼できそうなエージェントであれば幅広く依頼することになります。

同じ企業に複数の経路があるとき、どう選べばいいですか

有利かどうかではなく、確かめられるかどうかで決めます。その企業とのつながりが深い経路を選ぶか、自分が応募状況を管理できる形を選ぶかの2つです。二重応募は企業側から見ると管理の混乱として現れるため、避けてください。

自分で求人を探したいのですが、エージェントは使わないほうがいいですか

そういう話ではありません。10件見て自分が興味を持つ3件と、外から見て合うかもしれない3件は、おそらく違います。自分で選ぶときの基準は、すでに知っていることの範囲で作られるためです。どちらに価値を置くかで、選ぶエージェントのタイプが変わります。

「自分で選びたい」と伝えても大丈夫ですか

問題ありません。そのスタンスに合うエージェントもあります。希望を否定してくる担当者に当たった場合は、やり方が違う理由を説明できていないと考えてよいところです。

まとめ

  • 応募経路の有利不利は、求職者側から判断できない。 採用予算や費用に対する考え方によって経路の優先度が変わり、それは外から見えません
  • 費用の面では順序がある。 社員紹介がいちばん有利で、次点が直接応募。社員紹介は費用に加えて、紹介者による確認が済んでいる点も効きます
  • ただし順序は固定ではない。 社員紹介に報酬を払う企業もあり、費用面の優位は企業によって変わります
  • 同じ求人は、複数の経路に出ているのが普通。 掲載や依頼が無料で成功時に料金が発生する契約のため、企業側に絞る動機が弱いためです
  • 企業側は求職者ほど型を選び分けていない。 一定信頼できそうなエージェントであれば、秘匿性の高い案件を除いて幅広く依頼します
  • 決めるのは「有利か」ではなく「確かめられるか」。 その企業とのつながりが深い経路か、自分が管理できる形かの2つで選びます
  • 「自分で見て選びたい」は否定されるものではない。 これはエージェント側が介在価値をどう定義するかの問題です
  • ただし、自分で選ぶ基準はすでに知っていることの範囲で作られる。 10件見て興味を持つ3件と、外から見た3件は違います
  • どちらに価値を置くかで、選ぶ相手が変わる。 流通量を重視するモデルと、人力でマッチングするモデルのどちらが合うかです

エージェントの型そのものの違いについては、総合型と会計特化型で、何が変わるのかで整理しています。